恩田陸
『蜜蜂と遠雷』を読むとき、作中に登場する楽曲をYouTubeで流した。
音がページの向こう側に広がっていくようで、物語が少し立体的になる。
クラシックは難しいと思っていたけれど、プロコフィエフの曲を聴きながら読むと、不思議と登場人物たちの感情が理解できる気がした。
物語には4人の主要な登場人物がいる。
それぞれの個性、境遇、葛藤が交錯しながら進む長い旅のような物語。
「じん」が登場するシーンでは、娘の目が輝いていた。
意表をつく行動や、想定外の展開に心が動く瞬間が、子どもにも伝わるのだと思う。
読み終えたあとに映画を観た。
原作とは展開が違うが、演奏シーンの臨場感は印象的だった。
しばらくの間、娘は松岡茉優のピアノを弾く真似をして遊んでいた。
物語が日常に少しだけ溶け込んでくる。そんな余韻が心地よかった。
